不育症
妊娠してもお腹の中で赤ちゃんが育たず、流産・死産を繰り返すことがあります。流産を3回以上繰り返す習慣性流産などの総称を不育症といいます。当クリニックでは、安心して妊娠にのぞんでいただくために、不育症の可能性がある方でご希望があれば、事前の検査をおすすめしています。
不育症検査について
妊娠したものの、赤ちゃんが入る袋(胎嚢)が確認できず月経が来ることを生化学的妊娠といいます。生化学的妊娠は高い頻度で起こります。さらに、胎嚢が確認できても流産する頻度は、妊娠全体の10~15%にのぼります。日本では流産を2回以上経験した人が4.3%いるという報告もあります。流産は、決して珍しいことではないのです。
流産の原因は、偶発的な染色体の変化であることが多いのですが、検査をすることで原因を見つけられる可能性があります。原因が特定できれば、原因に応じた治療を行うことはもちろん、特に異常が認められない場合も、カウンセリングや精神的サポートを受けていただくことができます。
1次スクリーニング検査
不育症の検査をご希望される方に、最初に受けていただく検査です。いずれの検査も、有効性や必要性についての臨床的エビデンスがあります。
※金額の記載がないものは保険診療(自己負担3割)となります。
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子宮形態検査
子宮の形や子宮形態異常がないかを調べます。
- 子宮卵管造影検査
- 子宮鏡検査、超音波検査 sonohysterography
(子宮内に生理食塩水を入れて形態を調べます)
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血液検査
重度の貧血、肝機能障害、糖尿病は、妊娠、分娩におけるリスクを高めるだけでなく、流産、死産の可能性も高めます。また、甲状腺機能低下と流産との関連性も認められています。
- 血液一般 肝機能検査 APTT PT
- 甲状腺機能検査 TSH F-T4 TPO抗体
- 糖尿病検査 血糖値 HbA1c
- 自己抗体検査 抗核抗体
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抗リン脂質
抗体検査抗リン脂質抗体症候群は、流産、死産、妊娠高血圧腎症との関連があるとされています。
- ループスアンチコアグラント
- 抗CLβ2 GP1複合体抗体
自費診療(税別)- 抗CL IgG抗体、抗CL IgM抗体合計8,200円
必ずしも受けることをおすすめする検査ではありませんが、染色体検査をご希望の場合は、まず遺伝カウンセリングを受けていただきます。遺伝カウンセリングは、ご夫婦一緒に受診してください。カウンセリングでは、検査結果をご夫婦一緒に聞くまたは別々で聞く、あるいはご夫婦のどちらに染色体の変化があるのかは明確にしないなどをご決定いただきます。
- 自費診療(税別)
- 夫婦染色体検査 お一人29,000円(ご夫婦とも受ける場合は58,000円)
※結果によっては、再度遺伝カウンセリング(別料金)を受けていただき、必要であれば大学病院へご紹介いたします。
選択的検査
不育症との関連性が示唆されている検査です。
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血栓性素因
スクリーニング自費診療(税別)- プロテインS活性、プロテインC活性、第XII因子活性合計7,200円
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その他の
抗リン脂質抗体自費診療(税別)- 抗PEIgG、抗PEIgM合計13,600円
費用について
東京都在住の方は、東京都不育症検査助成制度がご利用いただけます。東京都の不育症検査に対する助成金は最大5万円です。すべての検査が助成対象となっています。詳細は以下ホームページをご覧ください。