男性不妊検査・治療
男性不妊症の原因には、精子の数が少ない(乏精子症)、精子の運動率が低い(精子無力症)、奇形精子が多い(奇形精子症)または性機能障害(EDや射精障害など)があります。まず、どのような原因があるかを診断して、原因に応じた治療をすすめます。ご夫婦一緒でも男性だけでもご相談いただけますが、「子どもがなかなかできない」と思ったら男性も早い段階で検査することをおすすめします。
検査内容
精液検査をご希望の方は、まずお電話でご予約ください。一日の検査件数を定めていますので、必ずご予約いただきますようお願いいたします。診療ではまず問診を行い、精液検査で異常を認めた場合には精巣の診察、超音波検査、ホルモンの採血を行います。
※金額の記載がないものは保険診療(自己負担3割)となります。
問診
家族歴、既往歴、常用している薬、職業など男性の性機能に影響を与える可能性のある事柄について詳細にお話を伺います。
精液検査
男性不妊の原因を知るための、最も基本的な検査です。不妊治療のなるべく早い段階で受けることをおすすめします。
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精液の量
正常値:2-6ml程度
精液の量は射精の度に大きく変動するものですが、量がほとんど無いあるいは1ml以下の場合、精液の産生障害または逆行性射精(膀胱内に射精する症状)が考えられます。
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精子濃度
正常値:1500万/ml以上
精子濃度が低い状態を乏精子症と呼びます。数値により人工授精や体外受精が必要になる場合があります。
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精子運動率
正常値40%以上
運動率が低い場合も男性不妊症の原因となります。
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白血球数
正常値100万/ml以下
慢性前立腺炎など感染症の可能性があります。白血球数が多いと受精率が低下するといわれています。
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続発性不妊症
すでに一人以上子供がいる方
年齢とともに精液所見が変化した、あるいは前回の妊娠では偶然精液所見の良い状態だった可能性があります。従って、一人以上お子さんがいたとしても検査を受ける必要があります。
精液所見は、絶えず変動します。結果が良くないからといって、妊娠をあきらめる必要はまったくありません。期間をあけて検査を数回行い、原因を探ることが重要です。
- 精液検査6,000円
精巣容積などの診察
精巣容積(睾丸の大きさ)は、精巣の造精機能を反映します。日本人男性の平均は13-16mlぐらいです。オーキドメーターというモデルを使って大きさを計測します。
超音波検査
精索静脈瘤などがないか、精巣の状態を観察します。
ホルモン検査
精巣は、下垂体(脳の一部)から分泌されるホルモンに刺激されます。LH(黄体化ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)が協力して精巣を刺激することで、男性ホルモンと精子を産生します。またPRL(催乳ホルモン)は乳汁の分泌を刺激するホルモンですが、男性で高値を示す場合は性機能に影響を及ぼしている可能性があります。
主な男性不妊症と治療法
乏精子症、精子無力症
乏精子症、精子無力症など、受精可能な精子が少ない場合、まず、漢方薬またはサプリメントの処方や、ホルモン療法などによる治療をおすすめします。
精液所見によっては、はじめから人工授精、体外受精をおすすめする場合もあります。薬の効果を見てからステップアップする場合もあります。
※乏精子症とは、精子数が少ない(1500万/ml以下)状態を指します。
※精子無力症とは、運動精子が40%以下の状態を指します。
男性不妊におすすめのサプリメント性機能障害
EDや射精障害などで夫婦生活が上手くもてない場合もご相談ください。薬物療法が可能か、基礎疾患がないかなどを問診したうえで、漢方薬、バイアグラ、サプリメントなどの薬物療法を行います。
ご希望により、膣内精液注入法や人工授精に進んでいただくことも可能です。
通常、性器の診察は行いませんが、必要に応じて触診、超音波検査を行います。
- 漢方薬
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- 補中益気湯
- 柴胡加竜骨牡蛎湯
- 桂枝加竜骨牡蛎湯
- 八味地黄丸
- ED治療薬
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薬の種類によって、特徴が異なります。レビトラは、バイアグラよりも食事などの影響を受けにくく、作用するまでの時間が短いです。シアリスは効果が30~36時間持続します。
これらの治療薬の服用は、妊娠や胎児に影響しません。基礎疾患がなければ、長期間の服用も問題ありません。自費診療(税別)- バイアグラ(50mg)1錠1,600円
- シルデナフィル(50mg)(バイアグラの後発品)1錠1,000円
- レビトラ(20mg)1錠2,000円
- シアリス(20mg)1錠2,100円
※再診以降は1回10錠まで処方可能です。
- 膣内精液注入法
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膣内精液注入法は、容器に採集した精液を医師が膣内に注入する方法です。
自費診療(税別)- 膣内精液注入法6,000円
逆行性射精
精液の量がほとんど無いあるいは1ml以下の場合には、膀胱内に射精する逆行性射精の可能性があります。原因不明のこともありますが、骨盤内の手術や糖尿病などが原因のこともあります。逆行性射精の場合にも、膀胱内の精子を回収する膀胱内精子回収法で、人工授精や体外受精をすることができます。
- 膀胱内精子回収法30,000円